変数や関数を定義する

ここでは、独自の変数や定数を定義し、数式中で使用する方法について解説します。


「 LIBRARY 」エリア

リニアンプロセッサーでは、独自の変数や関数を、いくつでも自由に定義し、数式中で使用する事ができます。それらは「 LIBRARY 」エリアに定義します。

LIBRARYエリアには、INPUTエリアの上にある「 LIBRARY 」と書かれたタブをクリックすると書き込めます。

「 import Math ; 」 は消してはいけない

LIBRARYエリアの先頭には、すでに以下の一行が記述されているはずです。

- LIBRARY -
import Math ;

この行は、sinやcosなど、リニアンプロセッサーで最初から使える関数を読み込むためのものです。従って、この行を消してはいけません。消してしまうとsinやcosが使えなくなります。

変数を定義する

それでは、変数を定義してみましょう。変数の定義は、以下のような1行を書き加えて行います。

- 変数定義の形式 -
float 変数名 = 値 ; 

最初の「 float 」というのは、ここではまだ詳しく扱いません。とりあえず、今は変数を定義するための用語だと思ってください。 また、行末の「 ; 」記号はついつい忘れがちなので、注意が必要です。

実際に、xという名前で、1.0の値を持つ変数を定義してみましょう。LIBRARYエリアに一行だけ追記し、以下のようにします。

- LIBRARY -
import Math ;

float x = 1.0 ; // xという名前で、1.0という値の変数を定義

追記された最終行の、 // ( ダブルスラッシュ )以降はコメントであり、無視されます。これで、xという名前で、1.0の値を持つ変数が定義できました。

定義した変数xを使って、実際に計算を行ってみましょう。「 INPUT 」タブをクリックしてINPUTエリアに戻り、以下の数式を計算してみてください。

- INPUT -

1 + x

この計算の結果は以下の通りです。

- OUTPUT -

2.000000000

このように、正しい値が得られました。

関数を定義する

続いて、関数を定義してみましょう。関数は、以下のような形で定義します。

- 関数定義の形式 -
float 関数名( float 引数名 ) {
    return 計算内容 ;
}

ここでも「 float 」というキーワードが登場していますが、とりあえず今は気にしないでください。「 引数(ひきすう) 」という耳慣れない言葉も登場していますが、これは関数を使う際、 ( ) の中に記述した値が格納される、特別な変数です。

それでは例として、「 half 」という名前で、受け取った値を2で割って返す関数を定義してみましょう。ライブラリに内容を追記し、以下のようにします。

- LIBRARY -
import Math ;

// 値を2で割って返す関数
float half( float a ) {
  return a / 2.0 ;
}

ここで、a/2ではなく、a/2.0としている事に注意が必要です。ここではとりあえず、「 LIBRARYエリアでは、数値には必ず小数点を付けておく 」と覚えておいてください。詳しい説明は割愛しますが、小数点のない値同士で割り算を行った場合、余りが切り捨てられます。

これは不具合ではなく、様々な事情により、そういうルールになっているのです。そして、余りが切り捨てられるのを防ぐために、数値には必ず小数点を付けるクセを付けておきましょう。

それでは、実際にhalf関数を使用してみましょう。

- INPUT -

half( 1 )

この計算の結果は以下の通りです。

- OUTPUT -

0.500000000

このように正しい値が得られました。

引数が複数ある関数

関数では、引数を複数使用する事もできます。それには、引数をカンマ記号で区切って定義します。例として、2つの値の積を返す関数 mul を定義してみましょう。LIBRARYエリアに以下のように記述します。

- LIBRARY -
import Math ;

// 2つの値の積を返す関数
float mul( float a, float b ) {
  return a * b ;
}

それではINPUTエリアに戻り、以下の数式を計算してみましょう。

- INPUT -

mul( 2, 8 )

この計算の結果は以下の通りです。

- OUTPUT -

16.00000000

このように正しい値が得られました。

VFモードON時に使用する変数と関数

ここまでで扱ってきた変数と関数の定義は、原則として、VFモードOFF時にしか使用できません。もしも無理に使用すると、その部分だけVFモードOFF、つまり16桁程度で処理されるため、全体で望んだ精度が出なくなってしまいます。それでは、VFモードON時に使用する変数と関数の定義は、どうすればよいのでしょうか。

それにはまず、これまで何度も登場した「 float 」というキーワードの代わりに、「 varfloat 」というキーワードを使用する必要があります( ※ 実はVFモードの「 VF 」は、「 VarFloat 」の略です )。そして、1.0や2.0などの数字の末尾に、vfの2文字を付けるようにします。

実際に、上で定義した変数 x と half 関数を、VFモードON時に使用するために書き直してみましょう。内容は以下のようになります。

- LIBRARY -
import Math ;

varfloat x = 1.0vf ; // 値が1.0の変数 x を定義(VFモードON用)

// 値を2で割って返す関数(VFモードON用)
varfloat half( varfloat a ) {
  return a / 2.0vf ;
}

これらの変数と関数は、VFモードON時に、正確な精度で使用できます。