制御構文

ここでは、条件分岐や繰り返し処理などを行うための方法である、制御構文を扱います。

- 目次 -

制御構文( 制御文 )

プログラム中の特定の部分を、一定の回数だけ繰り返し処理したり、 ある条件が成立した場合のみ処理したりする場合には、制御構文を使用します。

VCSSLでサポートしている制御構文は、必ずブロックとセットになっており、以下のような文法を持ちます:

制御構文キーワード ( 条件式など ) {
    処理内容 ;
}

VCSSLでサポートしている制御構文には、以下のものがあります:

キーワード かっこ内に書く内容 詳細
 if 条件式を記述する 条件式の結果がtrueの場合のみ、ブロックの中身を実行します。
 else なし 直前の if 文が不成立の場合のみ、ブロックの中身を実行します。
 else if 条件式を記述する else 文に if 文を繋げる事で、実行される条件を付加したものです。そのため、厳密には「else if」は一つの構文ではないのですが、そういう構文(else の亜種)だと見なした方が理解しやすいです。
 while 条件式を記述する 条件式の結果がtrueの間、ブロックの中身を繰り返し実行し続けます。
 for セミコロン「;」記号で挟んで、初期化処理・条件式・更新処理を記述する while文に似ていますが、繰り返し回数をカウントしながら、一定回数繰り返す用途に便利です。最初にカウンタの初期化処理が実行され、その後は条件式の結果がtrueの間、ブロックの中身が繰り返し実行されます。その際、更新処理が毎回呼ばれます。

if 文

それでは制御構文の一つ、if 文を使ってみましょう。以下のように記述して、実行してみてください:

If.vcssl

- 実行結果 -

Hello

これを実行すると、「 Hello 」と表示されます。つまり if 文のブロック内にある、 print関数が実行された事が分かります。これを以下のように書き換えるとどうなるでしょうか:

IfFalse.vcssl

- 実行結果 -

(何も表示されない)

今度は、何も表示されずに終了します。つまり if 文は、条件式の結果が true (成立) である場合のみ、 ブロックの中身が実行されるのです。 後の方の結果では、条件式 1 > 2 が false (不成立) であるため、何も表示されなかったわです。

なお、条件式の部分にbool型変数を記述する事も可能です。その場合、bool型変数の値がtrueの場合のみ、 ブロックの中身が実行されます。

else文、および if 文との組み合わせ

else 文は、if 文のあとに使って、「前の if 文が成立しなかった場合」に処理を実行したい場面で使用します。 「else」というのは「それ以外の、その他の」といった意味です。 実際に使ってみましょう:

Else.vcssl

- 実行結果 -

1 <= f

else 文の直後に、ブロックを挟まずにそのまま if を繋げて、「条件付きの else 文」のように使う事もできます。 これは、以下のように数珠繋ぎ(じゅずつなぎ)にして使用される事もよくあります:

IfElse.vcssl

- 実行結果 -

f < 3

これを実行すると、「 f < 3 」と表示されます。 このように、if 文の下に「else-if」の組み合わせを列記すると、 上から下へと順に条件式が判定されていきます。そして、条件式が成立した所で、 そのブロック内の処理が実行されます。それ以降に続く条件式は判定されず、実行もされません。

また、最後に else 文を繋げた場合、それより上の全ての if 文や else-if が条件不成立だった場合のみ、その else 文のブロックが実行されます。

while 文

続いて、while文を使ってみましょう。以下のように記述して、実行してみてください:

While.vcssl

- 実行結果 -

0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10

これを実行すると、入出力端末に 0 から 10 までの数値が出力されます。

つまりwhile文は、条件式( ここでは i <= 10 )の結果がtrueの間、 ブロックの中身が繰り返し実行されるのです。

for 文

上のwhile文の説明で用いた、一定の回数だけ繰り返す処理は、プログラミングにおいて非常に頻繁に使用されます。

しかし、上で用いたような記述は少し面倒です。これをもっと短く記述するために、for文が用意されています。

例として、while文の説明と全く同じ処理を、for文で記述してみましょう:

For.vcssl

- 実行結果 -

0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10

このように、非常に簡潔に繰り返し処理を記述する事ができます。

for文のかっこ内には、セミコロン記号「 ; 」で区切って、3つの式を記述します。ここでは、これらをそれぞれ初期化処理、条件式、更新処理と呼びましょう。

つまり上の例では:

でした。

for文では、最初に初期化処理が実行され、その後は条件式の結果がtrueの間、ブロックの中身が繰り返し実行されます。

その際、ブロックの中身が実行し終わる度に、更新処理が毎回実行されます。

初期化処理には、繰り返しをカウントする変数を宣言するのが一般的です。このような変数は一般にループカウンターと呼ばれます。 初期化処理で宣言された変数は、スコープがそのブロック内に限定されたローカル変数となります。

なお、更新処理の「 i = i + 1 」については、ここでは分かりやすさを優先してこう書きましたが、短く「i += 1」や「 i++ 」と書く事も可能で、一般にはそう書かれます(すぐ後で実際に使います)。

異なる制御構文の組み合わせ

制御構文は、いくつも組み合わせて使用する事も多々あります。例えば、if 文は繰り返しの中で使用される事も多いでしょう。

例として、偶数を出力するプログラムを書いてみましょう:

MixControl.vcssl

- 実行結果 -

0
2
4
6
8

上の例では、2で割った余りが0の整数、つまり偶数だけが出力されます。

ここでは、for 文の更新処理で、「 i = i + 1 」の代わりに「 i++ 」と書いています。 ループカウンタの値に、単に 1 を可算すればよいだけの場合は、このようにインクリメント演算子「 ++ 」を使って書かれるのが普通です。