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2022/11/11
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関数電卓 RINPn をアップデート、折りたたみ可能なキーパネルを搭載

RINEARNでは先日 11月8日、関数電卓ソフト「 RINPn(りんぷん)」の最新版 Ver.0.9.4 を公開いたしました。

同バージョンは、一応はまだ正式リリース前のオープンベータ版ですが、既にほぼ正式リリースに近い段階に達しているため、普通の感覚でご利用いただけます。

内蔵しているスクリプトエンジンの Vnano と共に、2022年内に正式リリースに着地できそうな見通しで、その前の段階での大きな更新は、恐らく今回が最後になります(細かい更新はまだ恐らく数回あります)。

アップデート内容

今回のアップデートは、内部的には結構大幅なリファクタリングや、内臓スクリプトエンジン(Vnano)側の更新など、色々と含んでいます。 ただ、それらはユーザー側から目に見える箇所ではないため、詳細は割愛します (※ ソースコードリポジトリのコミット履歴のメッセージなどから、英語ですが概要は一応確認できます)。

代わりに以下では、ユーザー目線で、印象や操作性に大きく関わる変更点をピックアップしてご紹介します。

折りたたみ可能なキーパネルを搭載

最も大きな変更点は、今回のバージョンからキーパネル(数字や演算記号、関数名などの入力キーが並んだパネル)を搭載した事です。

そもそも RINPn は、リニアンプロセッサーという電卓ソフトから、日常で必要最小限の要素を抜き出して、小型/軽量化するというコンセプトで開発が始まりました(名称も RINEARN Processor nano の略です)。 そのため、「 無くても済む 」キーパネルは、初期案の段階からずっと非搭載としてきました。下図の通りです:

上図の通り、ほぼ初期案通りに仕上げたものをオープンベータ版として公開し、開発サイドでもしばらく常用してみたのですが、そうすると 「 なんとなく、やっぱりキーパネルはあった方が良いのではないか… 」といった微妙さが時々湧き上がってくる結果になりました(本当にうまく言えない僅かな微妙さですが…)。

最初は単に慣れの問題かとも思ったのですが、使っている内に、どうも入力内容によって「PCのキーボードから入力したい時」と「画面にキーパネルが欲しくなる時」が変わる事に気づきました。 そのため、単純なUIプロトタイプを作って試してみたところ、「短く単純な内容は、画面上のキーパネルをマウスで操作した方が楽」で、 「ある程度複雑な内容になると、PCのキーボードの方が楽になる」という傾向を感じました。ちなみに、ちゃんとテンキー付きキーボードでの結果です。

PCのキーボード&テンキーは入力に特化した機器なので、常にそちらの方が楽になりそうに思えるものですが、なぜわざわざマウスでキーパネルをクリックする方が楽な場合があるのか、その理由ははっきりとは分かりません。 もしかすると、数値の表示部と、入力アクションを行う所が、視覚的に近いというのが効いているのかもしれませんね。 実際の入力の労力には関係ないはずなのですが、意外と脳内の「面倒くささ」の判断には、視覚ベースでの離れ具合が影響するのかもしれません。

という具合で、今回のバージョンから、下図のようにキーパネルが使えるようになりました:

上の図の中でも書かれている通り、キーパネルは「▲KEY-PANEL」スイッチをクリックすると、一瞬で折りたたむ事ができます。 PCキーボードでの入力の方が楽なシーンでは、スペースを取るだけですからね。

なお、副次的な効果ですが、キーパネルがあると、初見での印象が「 普通の電卓 」っぽくなり、なんとなく謎の安心感が生まれるというのも感じています。 これは初めて使うユーザーにとっては恐らく大きな点で、先発の関数電卓ソフト「リニアンプロセッサー」でずっとキーパネルを採用し続けている理由の一つでもあります。

そのため、「どうせキーパネルを載せるなら」という事で、この効果も見込んで、起動時にデフォルトで表示されるようにしています。

ウィンドウをマウスで(ようやく)リサイズ可能に

次の変更点は、ウィンドウの隅(すみ)をマウスドラッグして、サイズを変更できるようになった事です。 これは、ウィンドウを持つ普通のソフトでは大抵できる事ですね(ただ、電卓ソフトではレイアウト等の都合で、サイズ固定のものも結構あるようです)。

計算式を入力していて、思ったより長くなってきた時など、その場で入力欄の長さを伸ばしたくなりますよね。そういった場合に便利です。

実はこれまでのバージョンでも、設定ファイルを編集する事で、ウィンドウのサイズ調整はできました。でも、起動したままマウスドラッグでリサイズする事には未対応でした。 これは、特に難しい事情があったわけではなく、逆にいつでも実装できる処理なので、ただ漠然と後回しになっていた、という状況でした。

そういった後回しになっていた細かい点も、正式リリースに向けて回収する段階になったため、今回でサポートした次第です。

スクリプトを一発で選択/実行できる「 Script 」キー

最後の変更点です。まず前提ですが、 RINPn はC言語風の記法のスクリプト言語「 Vnano 」をサポートしていて、 それによる関数定義や自動処理などを行えます。 スクリプト言語としては恐らく結構高速の部類(倍精度演算でGFLOPSクラス)に入るので、それなりの計算量の数値計算プログラミングなどもカバーできます。

そして本題なのですが、これまではキーパネルが非搭載だったため、スクリプトを実行するには、そのファイル名やパスを、計算式の入力欄に打ち込んだ状態でエンターキー(または「 = 」ボタン)を押す必要がありました

これは、同じスクリプトを何度も実行する際など、場面によっては便利なのですが、しかしながらGUIの画面上で、常にコマンドラインのツールっぽい事を強いられる点が微妙でした。

そこで今回、キーパネルを載せるにあたって、スクリプトファイルをGUI上で選んで実行できる「 Script 」キーも盛り込みました。

なお、「 Script 」キーで選んで実行したスクリプトのファイル名/パスは、計算式の入力欄に自動でセットされるため、二回目以降は従来通り、エンターキーや「 = 」ボタンを押すとすぐ実行できます。 スクリプトを編集しつつ頻繁に実行する場合は、そちらの方が便利です(毎回「 Script 」キーを押すと、毎回ファイルを選ばされるためです)。

今回のアップデート内容は以上です。また目に見える内容のアップデートがあった際は、このコーナーで追ってお知らせします(細かい内部処理関連の更新などは、重要でなければ割愛させていただきます)。

特に大きな変更案が浮上しなければ、このまま近い時期にRC版へ移行し、恐らく年末付近に正式な Ver.1.0 のリリースとなる見込みです。

「使ってみたいな」と感じた方は、フリーソフトなので、ぜひ気軽に試してみてくださいね。ダウンロードはこちらです。


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