スクリプトエンジン/言語「Vnano」、Ver.1.0を正式リリース

以前よりベータ版などを公開していたスクリプトエンジン/言語「Vnano」を、 本日12月12日付けで正式リリース扱いに移行し、初版のVer.1.0.0を公開しました。

今回は、その概要をお知らせします。

Vnanoとは

まずはVnanoそのものについて、概要を軽くご紹介します。

ソフト/アプリ内に組み込み可能な、小型のスクリプト処理系

Vnanoは、Java®言語製のソフトウェア/アプリ内に組み込み可能な、小型のスクリプトエンジン&言語です。 詳しくは、下記の公式サイトをご参照ください。

Vnanoの概要や特徴については、上記サイトのトップページでまとめて説明しています。 また、サンプルコードやガイド類も整備しています。

オープンソースで、手軽に利用可能

Vnanoのスクリプトエンジンは、オープンソース開発で、MITライセンスに基づいて配布しています。

MITライセンスは、上記リンク先の通り、オープンソースライセンスの中ではかなり緩めのものなので、商用・非商用問わず誰でも手軽に利用できます。

使用例: 関数電卓ソフト「RINPn」

RINEARNでは、実際にVnanoを使用したソフトとして、関数電卓ソフトの「 RINPn(りんぷん)」も同時開発&公開しています。

RINPn は、単に一つの電卓ソフトというだけでなく、Vnano の使用例としてのデモソフトも兼ねています(こちらもオープンソースです)。 そのため、Vnano に興味を持たれた方は、ぜひお試しください。

RINPn の画面とスクリプト例

上記の RINPn では、電卓の計算式で使える関数/変数を、スクリプトを書いて自作する事ができます。 また、複雑な数値計算処理などを、スクリプトによって高速実行する事もできます。

それらの処理を担っているのが、今回の Vnano のスクリプトエンジンです。

バージョンの変遷と正式リリースの扱い

続いて、今回の正式リリース版の扱いを説明するため、これまでの開発の流れやバージョンの変遷を、駆け足でざっとまとめてみましょう。

初期(2013〜)

Vnanoは、簡易スクリプト言語「VCSSL」をベースとした、アプリ内組み込み用サブセットとして、2013年頃からプロジェクトが(あやふやな状態で)開始しました。

Vnano Logo

ただ、案を固める段階も含めて、幾度となく停滞してしまった事があり、実際に動く状態のソースコードをGitHub上で公開したのは2018年頃です。

ベータ版(2019)

それ以降は着地に向けた作業が進み、2019年にベータ版を公開しました。

ベータ版とは、開発途中である事を承知の上であれば、ある程度使えるバージョンの事です。正式リリース前の段階の一つとして、実用性の検証や意見収集などを見込だものです。

ただ、その後はコロナ禍による混乱などもあって、再び停滞気味の状態になりました。

RC版(2022)

今年(2022年)の後半に入ると開発が再び進展し、秋頃にはようやく正式版としてリリースできそうな品質になったため、年内の正式版への移行を見込んで、RC版を公開しました。

RC版(リリース候補版)とは、ほぼ正式版に準ずる、最終調整版といったような意味合いのバージョンです。調整を加えて複数出る場合、RC1、RC2、... といったように番号が付きます。

最初のRC版(RC1)の時点で「ほぼ正式リリース」というつもりで公開するものですが、Vnanoでは細かい調整が続いてRC3まで進みました。

正式リリース版(今回)

そして今回、RC版での調整が収束してきたため、バージョン番号を 0.9.* から 1.0 に切り上げ、正式なリリース版としての公開に切り替えました。

ただ、上述の流れの通り、今回で何かが大きく変わった/変わるというわけではありません。 着地に向けて収束していく中で、「どこで 1.0 と見なすか」という線引きの問題なので、むしろバージョン間の変化量としては、今回はかなり小さい規模です。

今後

恐らく今後数回のアップデートも、細かい調整やバグフィックス等に絞った内容のものになる予定です。

ただ、拡張方向の開発を終えるというわけではありません。 開発サイクルは拡張と着地を繰り返して進んでいくため、 最初の着地点である正式リリースから少し置いたタイミングで、 また機能拡張やパフォーマンス向上のアップデートなども実施していく予定です。

その際は、またこのコーナーにて随時お知らせいたします!